「103万円」「106万円」「130万円」、そして最近よく聞く「178万円」。
ニュースを見るたびに数字が増えて、「結局うちはいくらまで働けばいいの?」と頭がこんがらがってしまう方も多いのではないでしょうか。
壁には、税金の壁と社会保険の壁があって、それぞれ別のルールで動いています。
今日は2026年10月現在の情報をもとに、扶養内で働く時の収入の壁を、できるだけやさしく整理してみます。

目次
- 1 まず結論、壁は「税金」と「社会保険」の2種類
- 2 103万円の壁は、もう存在しません
- 3 年末調整で初めて反映される、という点に注意
- 4 配偶者控除の目安は、年収136万円まで
- 5 配偶者特別控除は、満額が169万円まで
- 6 社会保険の壁その1、106万円の壁は2026年10月に変わった
- 7 これからの基準は「週20時間」
- 8 自分が当てはまるか、チェックリスト
- 9 社会保険の壁その2、130万円の壁は続いています
- 10 130万円の判定、契約上の収入で見るように
- 11 繁忙期に増えた時は、事業主の証明という方法も
- 12 壁を超えると損をするの?手取りの考え方
- 13 扶養を外れる、という選択も悪くない
- 14 勤め先や健保組合によって細かい扱いが違うことも
- 15 制度は変わっていくもの、定期的に見直しを
- 16 手取りが逆転する「ゾーン」があることも知っておく
- 17 迷った時の相談先
- 18 数字に振り回されず、自分らしい働き方を
まず結論、壁は「税金」と「社会保険」の2種類
年収の壁には、所得税や住民税がかかり始める「税金の壁」と、健康保険や年金の保険料を自分で払うようになる「社会保険の壁」があります。
この2つは判定の基準も、手取りへの影響もまったく別物です。
「どの壁の話をしているのか」を意識するだけで、情報がぐっと整理しやすくなります。
103万円の壁は、もう存在しません
以前は「103万円を超えると所得税がかかる」とされていましたが、税制改正で基準が引き上げられました。
所得税がかかり始める目安は、令和8年分(2026年分)から178万円になると整理されています。
内訳は、給与所得控除の最低保障額74万円と、基礎控除が最大104万円という考え方です。
「103万円」という数字は、すでに過去のものになっています。
年末調整で初めて反映される、という点に注意
この新しい控除額は、毎月のお給料の天引きがその場で変わるわけではなく、年末調整の段階で反映される仕組みだと説明されています。
そのため、毎月の手取りが急に増えたと感じにくいのは自然なことです。
「変わったはずなのに実感がない」と戸惑った時は、年末調整で精算されると覚えておくと安心です。
配偶者控除の目安は、年収136万円まで
夫など配偶者の税金に関わる「配偶者控除」は、パートで働く方の合計所得が62万円以下、給与収入でいうと136万円までが目安とされています。
以前は103万円、その後123万円と引き上げが続き、今は136万円まで広がりました。
旦那さんの手取りに関わる部分なので、夫婦で数字を共有しておくと安心です。
配偶者特別控除は、満額が169万円まで
136万円を超えても、すぐに控除がなくなるわけではありません。
配偶者特別控除という仕組みがあり、満額が受けられる目安が169万円まで引き上げられたと説明されています。
控除が受けられる上限も207万円まで広がりました。
夫の所得などによって条件が変わることもあるため、詳しくは勤務先の案内や税務署で確認してみてください。
社会保険の壁その1、106万円の壁は2026年10月に変わった
勤め先の社会保険に入るかどうかの基準で、これまで「月額8.8万円以上(年収106万円以上)」という賃金の条件がありました。
この賃金要件は、2026年10月に撤廃されたと整理されています。
つまり、収入の額だけでは「106万円の壁」は判定されなくなったということです。
これからの基準は「週20時間」
賃金要件がなくなったあとは、「週の所定労働時間が20時間以上」という点が大きな基準になります。
あわせて、2か月を超えて働く見込みがあること、学生ではないこと、そして勤め先の規模の条件も関係します。
今は従業員が51人以上の会社が対象で、この規模の条件は2027年10月以降、段階的に広がっていく予定とされています。
「年収をいくらに抑えるか」より、「週に何時間働くか」を見直す時代になってきました。
自分が当てはまるか、チェックリスト
- 週に20時間以上働いている(または働く予定)
- 2か月を超えて働く見込みがある
- 学生ではない
- 勤め先の従業員が51人以上いる
すべて当てはまる場合は、年収にかかわらず勤め先の社会保険に加入する対象になる可能性があります。
勤め先の人事や総務に、自分が対象かどうか確認しておくと確実です。
社会保険の壁その2、130万円の壁は続いています
こちらは夫の扶養に入るための基準で、年収が130万円を超えると、自分で保険料を払う立場になります。
106万円の壁がなくなっても、130万円の壁そのものは今も続いています。
ただし、判定の方法が2026年4月から変わりました。
130万円の判定、契約上の収入で見るように
2026年4月以降は、労働契約書や労働条件通知書に書かれた年間収入をもとに扶養認定が判断されます。
契約上の年収が130万円未満であれば、一時的な残業などで実際の収入が130万円を超えても、扶養の対象になるとされています。
以前より予測しやすくなったので、「繁忙期に頼まれてつい働きすぎた」という不安は少し軽くなりました。
繁忙期に増えた時は、事業主の証明という方法も
一時的に収入が増えた場合、勤め先が「繁忙期の一時的な残業が理由です」と証明することで、引き続き扶養に入れる仕組みも用意されています。
この証明は、勤め先の協力が必要になります。
そんな時のために、日ごろから勤め先の担当者に制度のことを聞いておくと心強いです。
壁を超えると損をするの?手取りの考え方
壁を超えた直後は、保険料の分だけ手取りが一時的に減ることがあります。
ただし、社会保険に加入すると、将来の年金が増えたり、病気で休んだ時の傷病手当金が受けられたりといったメリットもあります。
目先の手取りだけでなく、将来の安心も含めて考えてみると、納得できる選び方が見えてきます。
扶養を外れる、という選択も悪くない
子どもが成長して時間に余裕が出てくると、「もっと働きたい」と感じる方も多いと思います。
壁を意識して働く時間を抑えるより、思い切って扶養から外れて働くという選択もあります。
家計の状況やこれからの働き方を、夫婦でじっくり話し合ってみてください。
勤め先や健保組合によって細かい扱いが違うことも
夫の勤め先が加入している健康保険組合によって、扶養の認定ルールが少し違うことがあります。
自分のケースがどうなるか迷った時は、夫の勤め先の担当者や、加入している健康保険に問い合わせてみるのが確実です。
ネットの情報はあくまで一般的な目安として、最終的な判断は公式の窓口で確認してください。
制度は変わっていくもの、定期的に見直しを
収入の壁は、ここ数年でも何度も変わってきました。
今回ご紹介した内容も、今後の法改正で変わる可能性があります。
年に一度、年末調整のタイミングなどで、自分の働き方と壁の位置関係を見直す習慣をつけておくと安心です。
手取りが逆転する「ゾーン」があることも知っておく
壁を少し超えた直後は、税金や保険料の負担が増えて、働いたのに手取りが減ってしまう「逆転」が起こることがあります。
ただし、その差は、収入が増えていくにつれて、少しずつ埋まっていきます。
自分の収入がどのあたりにあるのかを、試算してみると、働き方を考えるヒントになります。
迷った時の相談先
年収の壁のことで迷った時は、勤め先の人事・総務の担当者や、夫の勤め先の健康保険の窓口、税務署などに相談できます。
今の自分にあてはまるかどうかは、個別の状況によって変わるため、公的な窓口で確認するのが確実です。
数字に振り回されず、自分らしい働き方を
壁の数字は、あくまで目安です。
家族の状況や、自分がどんなふうに働きたいかを大切にしながら、無理のないペースを選んでいってください。
今日の内容が、そのための整理のきっかけになれば嬉しいです。













